JUICE
俺たちは今、この瞬間、ひとつになる。
切なげに寄せられた眉間の皺を見下ろしながら、俺は組み敷いた元親の息が整うのを待つ。伏せられた瞼に口づけを落とすと、投げ出されていた長い腕が肩へと回され、今度は唇同士が重なった。たかがそれだけで俺の胸は擽ったそうに幸せを訴えやがる。
あーあ、これまでの人生かけて尖らせてきた「伊達政宗」は最早形無し。ぐずぐずに融けて悦に入る俺のまわりを所在なげにたゆたうんだ。
いつもいつも、元親に自分を突き立てる時、そんな幻を見る。
政宗。
囁くような声音は普段を微塵も感じさせず、繊細に空気を震わす。駄目だ、俺はこれに弱い。
誤魔化すように担いだ元親の片足を抱え直せば、やわらかい肉と擦れてか細い悲鳴が上がった。頬を撫でる吐息があまりに熱くて、俺は身を竦ませる。
身持ち良すぎ。このままおかしくなりそうだ。もしそうなったらどうしてくれんだ元親、ああん?
腰を突き出して深く、何度も繰り返し抉る。揺さぶられる元親は俺へと縋る指に精一杯力を込めて喘いだ。硬質な感触が肌を引っ掻き、無視しきれない痛みを生む。俺は口の端が持ち上がるのを我慢出来なかった。被虐趣味なんつーもんはないが、むしろ痛いのがイイのは元親の方だ、でも堪らなかったりする。
だってよ、この時は俺しか映ってねぇんだぜ。最高だろ。
滲む汗でずり落ちてくる元親の脚に手を焼く。悔しいが体格は元親の方が一回りでかい。何度抱えても逃げていく真っ白なそれにキリのなさを感じ、同時に噛みつきたい衝動が湧いてくる。
ぴたりと吸い付いて離れない、匂やかなその肌に尖った歯を突き刺して、骨の髄まで啜っちまいてぇ…。
暗い妄想に下腹部のあたりがずくりと高ぶる。見せつけるように痙攣の止まない内股をねっとり舐め上げる俺の心を知って知らずか、元親は自ら脚を巻き付けてきた。俺の腰で足首を組み引き寄せて、啄むように唇を奪っていくその真摯な瞳に飲まれてしまう。
俺たちはひとつになった瞬間、ただ互いを貪り尽くすことしか考えられなくなる。
「お前をよこせ」
間髪入れず突き上げ続けるから、元親の半分開いた口からは甲高い吐息混じりの言葉しか聞こえねぇ。だが満面の笑みで見上げてくるから、それが答えのような気がする。
はやく、俺への愛情全部、そこらのシーツにぶちまけちまいな。そんで俺のを一滴残らず飲み込んでくれ。
(2006/05/13)